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強力な医師偏在対策の必要性を強調

強力な医師偏在対策の必要性を強調

【働き方ビジョン検討会】
神野副会長が四病協の考えを説明

 厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(渋谷健司座長)は1月26日、前回に引き続き、関係団体からヒアリングを行った。同日は、四病院団体協議会を代表して全日病の神野正博副会長が、参考人として「医師偏在是正に関する四病協の考え方」を説明した。神野副会長は、「医師偏在対策なくして、医師需給の議論はない」と主張。地域の医師不足に対応するため、強力な医師偏在対策が必要と訴えた。
医師不足の現状を訴える
 神野副会長はまず、勤務医不足の現状を説明。病院に対する調査で、全体の8割が「医師が不足」と答え、地方では「不足」の割合がさらに高まることを示した。「指定都市・中核市等」では72.7%、「その他の市」では86.3%、「郡部・町村」では92.5%の病院が医師が不足と答えた。また、勤務医確保が地方であるほど困難である現状を、データに基づいて示した。
 1カ月の時間外勤務時間が80時間を超える常勤医師の割合が2割を超える病院は、「指定都市・中核市」で23.9%、「その他の市」で18.0%、「郡部・町村」で28.6%と、いずれも高くなっている。地域の医師数の増減をみても、過去10年で医師の都市への偏在は進んでおり、地方の医師不足に拍車をかけている。
 女性医師の働き方については、日本女医会が作成した推計を紹介。それによると、男性医師の労働力を100%とした場合、「配偶者あり・子どもあり(中学生未満)」の女性医師は50%、「配偶者あり・子どもあり(中学生以上)」は60%の労働力と推計している。一方、医師需給分科会の医師需給推計では、女性医師の労働力を男性医師の8割として計算している。女性の労働力を少なく見込むと、推計においては、より多くの医師が必要という推計結果が導かれる。
偏在対策なしに医師需給の議論ない
 神野副会長は医師不足の状況を説明した上で、医師需給と偏在の関係の考え方を、「バケツの水」に例えて説明した。「大都市・人気診療科」というバケツに、医師の供給という水が入る。偏在対策が不十分だと、バケツが大きくなり、供給数を増やしても、バケツに水(医師)は満たされない。偏在対策が十分であれば、バケツは小さくなり、やがて、バケツに水(医師)は満たされ、あふれた水(医師)が「地方・すべての診療科」に行き渡る。
 そのためには、強力な医師偏在対策を講じる必要がある。神野副会長は、「偏在対策なくして、医師需給の議論はない。強力な偏在対策により、はじめて需給調整が可能になる」と訴えた。
 その上で、医師需給分科会で、厚労省が整理した医師偏在対策の提案を取り上げ、早急に議論する必要があると強調した。偏在対策が実現できなければ、「医師数を増やさざるを得ない」と主張した。
 具体的な医師偏在対策としては、特に、◇保険医定数制◇開業規制◇総合診療医のアイデンティティの早期確立と臓器別専門医の抑制─を例示した。さらに、ワークシェアやチーム医療、ICT による遠隔医療(診断・治療)、AI の発展が、間接的な医師偏在対策になることを示した。
 同日の検討会では、そのほか参考人として、日本看護協会の坂本すが会長、唐津市民病院きたはたの大野毎子院長、亀田総合病院の八重樫牧人内科部長、慈恵医大脳神経外科・先端医療情報技術研究講座の高尾洋之准教授、東京大学医科研遺伝子・細胞治療センターの横山和明助教が意見発表を行った。
 同検討会は前回と今回の計11人の参考人の意見発表を踏まえ、年度末の最終報告に向けた議論を行う。初の10万人規模の医師の働き方の全国調査の結果は、現在集計中であり、2月中に同検討会に報告される予定。社会保障審議会・医療部会では、医師偏在対策の議論が遅れていることから、同検討会が早期に最終報告をまとめ、医師需給分科会を再開し、医師偏在対策の議論を進めるよう求める意見がある。

 

全日病ニュース2017年2月15日号 HTML版

 

 

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  • [1] 厚労省・医師需給分科会> 一定の規制伴う医師偏在対策の議論始まる

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20161001/news08.html

    2016年10月1日 ... 一定の規制伴う医師偏在対策の議論始まる|第880回/2016年10月1日号 HTML版
    。21世紀の医療を考える「 ... 労働大臣の意向を受け、「新たな医療の在り方を踏まえた
    医師の働き方ビジョン」も策定し、その上で改めて需給推計を行う。

  • [2] 厚労省の医師需給推計方法に疑問。

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20160601/news09.html

    2016年6月1日 ... 出産・子育てなど女性医師の労働時間を男性医師比「0.8」と高めに推計厚労省の医師
    需給推計方法に疑問。 ... 5月19日の医療従事者の需給に関する検討会・医師需給
    分科会は、当面の医師養成数と医師偏在対策に関する検討の方向性 ...

  • [3] 構成員が様々な医師偏在対策を提案|第886回/2017年1月1日・15日 ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170101/news15.html

    2017年1月1日 ... 働き方ビジョン検討会の議題に「医師偏在対策」が加わったため、構成員から偏在対策
    の提案が行われている。 同日は、鈴木 ... また、労働環境の改善に向け、夜勤加算算定
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