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満足度向上への取り組み

0. はじめに

 病院の機能は、規模によって様々ですが、ほぼ共通して、診療や看護を提供する入院機能と外来機能があります。この2つ以外にも、入院機能として、衣食住に関する生活提供、外来機能では、予防や生活指導、往診や訪問診療、訪問看護、訪問リハビリなどの在宅機能、ドックや検診などの予防活動もあります。

1. インフォームドコンセント(説明と同意)

 医療提供側は、患者が十分に納得するまで説明をするよう心がけています。インフォームドコンセントは、患者が本当に理解し、了解したことを確認して医療を進めることです。患者が積極的に医療に参加し、相互協力、共同作業で医療を進めることが大切です。当然のことですが、病状、治療計画、予測される効果やリスクなどを説明しますが、その場所やプライバシー保護への配慮、患者の立場、平易な言葉使い、資料・図の活用、心理的側面などを配慮するよう努力しております。
さらに、情報開示として、患者の請求に基づく診療記録などの開示体制を構築してきています。
また、健康や病気に関して、診断や治療法の選択にセカンドオピニオンを求める声が多くなっております。現在は、診察や検査を行わずに診断や治療方法を決定することはできませんが、必要なときにセカンドオピニオンを受けられる仕組みつくりが必要です。

2. 患者の安全確保

 患者の安全確保のため、委員会などの活動体制と責任体制の明確化を心がけています。方針と手順を文書化し、適宜改定し、医療に携わる全職員に周知されるように心がけています。詳細は、医療安全推進のページを参照してください。

3. 表示

 受付や案内などの接遇には特に配慮し、言葉使いや身だしなみをはじめとする、接遇教育を重視しております。診療担当医の案内など、診療科目と担当医師名が、診察前に患者にわかるように工夫しております。各種案内表示では、全館案内図、文字の大きさで必要場所に、高齢者、障害者への配慮など心掛けています。案内、掲示には、必要な情報がリアルタイムに表示できるように工夫しています。
最後に、患者との関係は、最初に出会った医師と形成されるため、特に医師の接遇を重視しています。

4. 待ち時間対策

 待ち時間の問題は、患者は当然のこと、医療提供者にとっても、基本課題と捕らえています。医療提供側は、待ち時間の状況を診療科別に把握し、対応しています。最近では、コンピュータシステムの導入や予約制などにより、すこしでも待ち時間が短縮されるように、常に改善を心がけています。また、どうしてもお待ちいただかなければいけない場合には、テレビ、新聞、雑誌等のほか、待つことへの苦痛を軽減する工夫をしております。お待ちいただく場所も、総合受付スペースとは別に診察待ちの方のブロック待合スペースを区分して、診察を待つ時間の新しい空間を設けたりしています。また、当然、医師は、診察開始予定時間に診察が開始されている必要があります。

5. 医療相談と苦情処理窓口

 最近は、医療相談やなんでも相談コーナーのような苦情処理窓口などを設置しております。院内での相談窓口の表示もわかりやすいようにし、入院案内などへも相談窓口をご案内しております。患者および家族と相談するための相談スペースの確保、プライバシーを守り、患者および家族の経済的、社会的、心理的相談に応じられるように努力しております。となります。

6. 投書箱と患者アンケート

 投書箱、患者アンケート、モニター制度などを活用し、患者、家族の希望や意見を聴く工夫をしております。患者・家族のご希望、ご意見に対して、責任をもって対処する部署または担当者、手順を決め、サービスの向上を図っております。ご意見等への回答や対応は、院内掲示や広報誌への掲載、職員への回覧という形でフィードバックし、患者、家族には当然のこと、職員にも周知できる仕組みを作っております。最近は、患者の満足度調査のアンケートを実施している病院も増えてきました。このアンケートは、患者の満足度の向上、医療の質の向上、そして、職員の意識改革を目的とし、職員の言葉使いや対応、外来の待ち時間、入院環境などの満足度を付けてもらうものです。

7. 利便性の向上

 最寄り駅からの交通案内を始め、駐車場の確保、時刻表の案内、タクシー待ちの配慮など病院への利便性に配慮しております。プライバシーや車椅子に配慮した電話、売店などのアメニティの充実にも心がけています。消灯時間や面会時間など入院生活の規則が患者本位に運用されるよう心がけています。面会室、掲示物、テレビ、新聞、インターネットなど、院外の社会との情報交換を心がけています。洗面、整容、湯茶、コインランドリー、冷蔵庫、私物保管場所など生活延長上の設備を設けています。外来でも出入り口や玄関、廊下などバリアフリーです。当然、病棟、トイレ、浴室などは患者の移動の視点に立ったバリアフリーです。

8. プライバシーの確保

 病院は、特にプライバシーの配慮に心を遣っています。外来では、患者の呼び出しにも配慮しております。診察室などでは、会話が外にもれないように仕切りやドアなどで配慮しております。処置行為、採血や採尿、その他の検査でも人目に触れないような工夫をしております。病棟でも、患者・家族に説明するためのプライバシーの保たれる場所が必要です。病室では、特に更衣時や診察、処置へのプライバシー確保について配慮しております。患者名の表示は、患者本人、家族の意向を尊重していくことが望ましい。デイルームやコーナーなどの面会用スペースの確保も必要となってきています。

9. 療養環境

 施設環境としては、身障者用駐車場、手すり、車椅子の配慮、洗面など高齢者や身体機能低下に配慮した設備や、車椅子、床頭台、待合の椅子、歩行器など患者が利用する備品などの配慮に心がけています。壁、天井の隅まで清掃を行い、不快な臭気を取り除き、待合室、階段、廊下などの共有部分にも院内の採光・彩色に配慮しています。音環境、院内放送、周囲の環境など病棟の静寂を保つようにしています。観葉植物や絵画を含むインテリアに配慮し、患者がくつろげるスペースを作っております。病室は、床頭台、ロッカーなどは整理整頓に心がけ、ベッドごとに調整できる照明と採光に配慮し、空調に関しては柔軟に対応し、快適な空間を確保することが望ましい。移動、安楽な姿勢の確保のための患者の容態に応じたベッド調節、転落防止のためのベッド調整など安全性を保っております。マットも機能および清潔性がたもたれるように交換・洗浄を適宜行っております。トイレは、病室からの距離、患者人数に合ったトイレ数、車椅子用のトイレ、広さ、手すりやナースコールなどトイレの安全性と清潔性を考えています。 浴室は、病棟の機能別に配置し、広さ、転倒防止や熱湯による火傷防止、手すり、床のすべり止めなど浴室の安全性を確保しております。なるべく多くの入浴の回数と時間を提供したいと思います。禁煙は、禁煙区域を設け、分煙が主流です。適切な表示をし、換気に配慮し、職員に対しても徹底します。食事は、患者にとって最大の楽しみでもあります。食事時間も日常の時間になるように心がけ、病棟配膳、配膳車の工夫により食事の温度管理を行い、食堂など快適な食事場所で、選択メニューや個別対応など患者の特性や希望に応じた食事が提供できるように努力しています。

10. 医療機能評価

 医療の質、患者満足度の評価として、医療の専門家による第三者評価である医療機能評価(日本医療機能評価機構が実施)があります。2002年11月12日時点で774病院が認定を受けています。ます。

11. ISO

 医療の分野においても地球環境保全に対する積極的な取り組みが行われつつあります。地球環境に調和した医療活動を推進するためには、環境マネジメントシステムの運用が重要になってきます。この国際規格にISO14001があります。これは、組織自らが環境に対する目標を立て、実行し、見直し、さらに次の目標に向かって行動していく仕組みで、組織全体において、将来にわたって持続可能なシステムであることが求められます。医療機能評価と同様、このISOの取得に取り組む病院も増えてきました。

12. 職員教育の充実

 最近では、しっかりしたキャリアパスに基づく、生涯教育に力を入れている病院が増えてきました。入職時、中堅、監督職、管理職などの階層別と職種別に教育体系を構築しております。また、病院の団体でも、教育、セミナーなど積極的に開催しております。教育は、医療の質の向上、患者サービスの向上のために、職員のスキル向上、自己啓発を図るために必要と考えます。

13. TQM活動

 最近は、グループ改善活動を実施して病院が増えてきました。TQMは、Total Quality Managementの略ですが、組織をあげて、医療の質の向上、患者サービスの向上を目指そうというものです。職場の問題点を明確にし、原因を分析し、できることから少しずつ改善し、改善成果を把握し、次の改善につなげるものです。継続的な活動により、常に医療サービスの改善を実施しています。

14. 地域活動

 最近は、地域に根づいた病院づくりを目指す病院が増えております。それは、医療提供機能や在宅ケア機能のみならず、地域のコミュニティプラザとしての機能も目指しております。地域に開かれた病院作りを心掛け、患者、家族はもちろんのこと地域の方々を対象とした健康講座や介護者のための講習会、病院祭やコンサートの開催、図書室などの開放を実施しています。また、患者の会や市民・福祉グループとの懇親会、ボランティアの方々の受け入れなど地域の方々と積極的な交流を図っております。

15. 入院案内のしおり

 よく、病院のサービスは、ホテルと比較されますが、ホテルの部屋ごとに置いてあるご案内と同様に入院案内のしおりが必要です。入院時に必要とするものが記載されていますが、それ以外にも、病院案内図、生活用品やテレビなどの使用方法、面会時間、検温や食事等の時間、入院生活に必要な内容をすべて網羅しております。

16. QOL(Quality of Life 生活の質)の向上

 患者の生活の質をより豊かにしてゆくことが医療人には必要です。特に、慢性期医療においては、その比率を医療チームで高めていく必要があります。
医師のみでなく、関わる専門スタッフで患者のQOLを高めるという視点から医療の関わり方を検討しています。

17. 日常生活の確保

 かつては、病院での入院生活は、日常生活に比べて不自由、不便が当然のように考えられていましたが、入院中といえども、日常生活に近い生活を提供したいと考えます。面会時間、食べ物や嗜好品、衣類、外泊、外出、散歩など生命上の危険のない限り、生活上の制限を加えないようにしております。

18. 患者の権利

 患者の情報、自己決定、プライバシーの確保など患者の権利に関して、入院説明書などで、患者本人と家族へ明文化しています。患者権利と職業倫理に関する文書化と周知、終末期医療や宗教など個別の倫理側面を検討する委員会などを設けていることが増えてきました。患者自身の医療への主体的参加の支援も行っています。

19. 医師

 医療における信頼の問題は、医療従事者全体に関わる重要なテーマです。しかし、今日ほど、医師が、人々から倫理面その他の局面でより厳しく姿勢を問われる時代はないでしょう。これからの医師は、倫理面をはじめ、病院の理念、組織としての方向性、リスクマネジメントなどを理解したうえで、医療に携わることが望まれます。そのために、医師にも、社会人・組織人としてのあり方、病院の理念・目標の浸透が必要であります。最近は、医師にも就業規則に基づいて、診療開始時間、病棟回診など基本的なことを中心に、ごく当然の義務を規定化しております。

20. さいごに

 最近、テレビや新聞等のマスコミを通して、人々の医療に対する不信感がクローズアップされています。すべてが公正な報道とは言えないが、私達医療提供側は、それを素直に受け止め、その原因を分析し、原点に帰って、医療とは何かを考える良い機会と捉えております。医療においては、医療提供側と患者との信頼関係が最も重要であり、信頼関係があれば不信感という言葉は出てこないであろうと考えています。これは直接診療に携わる医師等に限らず、病院全職員の問題として把握されなければならないと考えます。医療における信頼とは、医療に従事するわれわれの意識が変わるという事であります。患者満足度の向上に向け、ひとつひとつできることから丁寧に行い、患者と医療提供側の良い関係を創ることができければ幸いです。

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